パミラが店番をしているカトマンドゥのお店の場所は、
今朝サンカルに聞いて地図を書いてもらっていたのですぐにわかった。
「エメ! マッテタヨ! カノジョハ、トモダチデスカ?」
私の姿がお店のショーウィンドウから見えた瞬間、
パミラが弾かれたように店の奥から飛び出して来た。
「うん、祥子っていうの。彼女はパミラ」
二人はにこやかに微笑みあって、パミラは私たちを店の中に通した。私は驚いた。
そこには、私が想像していたセッちゃんがいつもつけていたような類いの「宝石」は
ひとつもなかったからだ。
その代わりに、ごつごつキラキラしたさまざまな色の石の塊やスティック状の水晶、
小さなまるっこい原石などが無造作に並べられていた。
それはまさしく、祥子が言った「パワーストーン」の数々だった。
「パミラ、あなたのところって、他のお店もこういう石ばかりなの?」
私は驚いて聞いた。
「イイエ、ホカノオミセハゼンブ、ホウセキノ『ルース』ヲウッテイマス」
私と祥子は顔を見合わせた。
偶然が偶然を呼ぶとはまさにこのことだ。
それから私も祥子も思い思いに店内を見て回った。
私はショーケースの中のある石の前で、ぴたりと身動きできなくなってしまった。
自分の目に映っているその石が、
私の胸の中にも在るように感じられて私は少しクラクラした。
すると、パミラが私にそっと近づいてきてこう言った。
「ソレハ、ヒマラヤン・クォーツ・クリスタル。ワタシタチノ、オカアサンミタイナ、
トクベツナ、クリスタル」
パミラはショーケースの中から、私が見つめていたその石を取り出した。
そして大事そうに両手で包み込むように持ち、私の手のひらに乗せてくれた。
すると、何とも言えない不思議な感覚が私を襲った。
深いところからやってくる涙が次々と溢れて止まらなかった。
頭では何がどうなっているのかさっぱりわかっていないのに、
心はすべてを知っているようだった。
私の中に、音楽が流れた。
あの町の、古いお寺の、しあわせのミストがここにも降り注いでいる。
いつから私はやめてしまったのだろう、自分を探究することを。
どうして長い間、心をしまっておいたのだろう。
友達はみつけられたの?
……たったひとり。
十分よ。
……今日が永遠でありますように。
はじまりと終わりはひとつなんだよ。
……私は、だれ?
あなたは、ひとつの星。
私はうつむきながら独り言を言っていた。
理性の自分はもういなかった。
ここでは必要ないんだ。このままでいよう。
私はそれを受け入れた。
祥子がそっと私の肩を抱いて、私の顔を覗き込んだ。
私はしあわせに包まれ、たったひとりの友達とそっと抱き合った。